『マラソンは3つのステップで3時間を切れる!』はサブ3〜サブ4を狙うランナーのためのトレーニング紹介しています。
『マラソンは3つのステップで3時間を切れる!』とは?
『マラソンは3つのステップで3時間を切れる! 運動経験のない50歳のおじさんがたった半年で2時間59分』(白方健一、SBクリエイティブ、初版第1刷、2015年10月25日)はサブ3〜サブ4を目標にしているランナーのためのトレーニング法。
だからフルマラソンを最低でも1回完走していて、サブ3〜サブ4を目標にしているランナーが対象になります。
『マラソンは3つのステップで3時間を切れる! 運動経験のない50歳のおじさんがたった半年で2時間59分』の著者は、マラソンクラブ代表コーチの白方健一さん。藤原新選手のトレーニングにも同行しているという(『マラソンは3つのステップで3時間を切れる! 運動経験のない50歳のおじさんがたった半年で2時間59分』出版時)。
大きな文字サイズだから高齢者にも読みやすい。それでいて濃い内容。
『マラソンは3つのステップで3時間を切れる!』で勉強になった3つの点
『マラソンは3つのステップで3時間を切れる!』のキーポイントは書名にもあるように「3」がキーポイント。トレーニング期間、フルマラソンでの補給法等々3を切り口に覚えるという感覚で読んだら頭に入ってきやすかった。
その1。トレーニング法やフルマラソンでのペース配分。年間を通して「トレーニング→フルマラソン大会」を3回繰り返して、3回めの最後のフルマラソン大会で自己ベストを狙う発想(第2章「トレーニングの3のステップ」)。
1年を下記のサイクルで回す。3ヶ月トレーニング1→フルマラソン大会1→2〜3ヶ月トレーニング2→フルマラソン大会2→2〜3ヶ月トレーニング3→フルマラソン大会3→1ヶ月休養。
フルマラソン大会1〜2はトレーニングの一環。フルマラソン大会3で目標に挑戦するという段取りになっています。また、フルマラソンでのペース配分(レース戦略)も3回のフルマラソン大会で3パターン(第4章「3ステップで目標タイムを達成する」)を実践する内容になっています。確かに3種類のペース配分を知っていれば状況や体調に応じて
その他。
ジャック・ダニエルズさんのVDOT表のタイムから判定した2タイプのトレーニング法も面白かった。VDOTを持て余しているランナーには良い知恵になりました。
また、不整地を走るクロカンやトレイルランニングをトレーニングに取り入れていることが刺激的でした。トレイルランニングをトレーニングに入れることを勧めていないロードメインのトレーナー(著者)がいるから。
私も日頃利用している心拍センサーを用いたトレーニング法やマラソン大会で用いて分析して次につなげる方法を白方健一さんも第5章「心拍数を測ってトレーニングに活かす」で勧めています。
その2。補給法。
第9章「自己ベスト必達! レース直前&当日のコンディショニング」のフルマラソン大会の直前1週間、当日の食事法、フルマラソン中の補給法。
ここでも「3」。カーボローディング、ウォーターローディング、そしてアミノ酸ローディング。カーボローディングに関する独特の知見は一聴の価値あり。
フルマラソン中も「3」。ジェルを15km、25km、35kmに摂る。最後のジェルはカフェイン入りでも良い。
その3。藤原新選手との対談。
巻末の「スペシャル対談 藤原新×白方健一」。藤原新選手も脂質優先でランニングしていること。「脂質代謝中心で効率的に走れば30kmの壁はない」という小見出しもあります。
『マラソンは3つのステップで3時間を切れる!』まとめ
書誌的な誤記について。第2章の見出しが目次では「トレーニングの3のステップ」、第2章の扉では「トレーニングの3つステップ」となっています。これは「トレーニングの3つのステップ」だと思います。目次では第3章「練習のパフォーマンスの高める知恵」、扉では「練習のパフォーマンスを高める知恵」。
書名副題中にある「運動経験のない50歳のおじさん」とは白方健一さん自身のことではない。白方健一さんの下でトレーニングした50歳ランナーでサブ3を達成した事例もあったということ。だから過大な期待をせずに。
裸足ランナーだから第7章「自己ベストを目指す人のシューズ」についてはノーコメント。
ランニングフォームについては第8章「ラクに長く走るためのフォームと着地」に腕振りと下半身の強化法のポイントや体のストレッチ法が書いてあります。
大きな文字だと「それだけ内容が薄いんじゃないの?」と勘ぐってしまいます。『マラソンは3つのステップで3時間を切れる! 運動経験のない50歳のおじさんがたった半年で2時間59分』は私にとって新書の割には上述したように濃いトレーニング法を提案してくれた良書でした。それだけよくまとまった内容だからでしょう。