『ランニングする前に読む本 最短で結果を出す科学的トレーニング』を読んでみた。
『ランニングする前に読む本 最短で結果を出す科学的トレーニング』(田中宏暁、ブルーバックス B−2005、講談社、第1刷 2017年2月20日)は、初心者からサブスリー目標のランナーを対象にしたスロージョギングでおなじみ田中宏暁教授自身のランニング研究成果を踏まえた集大成最新版と言える。
「はじめに」で田中教授自身50歳でフル2時間38分48秒とか、第1章で60歳から走り始めて4ヶ月で3時間42分でフル完走して63歳で3時間7分まで記録更新とか、最初からビックリする事例が出てきたから記録更新で伸び悩んでるランナーにぜひお勧めしたい一冊。
額に汗して日夜自己記録更新に励んでいるランナーの琴線に触れそうな項目をいくつかピックアップすると「『走れる身体』を作るための筋トレは必要ない」(第1章)とか「ランニング前の準備運動はいらない」(第2章)とか20分程度の有酸素レベルのランニングでもランナーズハイが起きる(第4章)とか衝撃的な内容がさらっと書いてある。
『ランニングする前に読む本 最短で結果を出す科学的トレーニング』の読み方
ガイドラインとして第0章「この本の効果的な使い方 ランナーの悩み、始める前の疑問を解消する」から自分に必要な章だけ読めるから親切。
とはいえ1度は通し読みして損はない。
田中宏暁教授のランニング研究の集大成として分かりやすい章立て。
新書によくこれだけぶちこんだという内容になっている。
第1章「走るための基礎知識〈理論編〉ウォーキングよりランニングがいい理由」
第2章「走るための基礎知識〈実践編〉スロージョギングが、マラソン完走・サブスリーへのいちばんの近道」
第3章「ランニングとダイエット ランニングで効率よく痩せる、痩せて効率よく走る
第4章「ランニングの生理学 メカニズムを知れば、効果が上がる」
第5章「マラソンへ向けたトレーニング フルマラソン完走、サブスリーを目指す」
第6章「レースのコンディショニング レース直前からレース後の注意点」
第7章「ランニングと健康 継続して走ることが身体にもたらす効果」
『ランニングする前に読む本 最短で結果を出す科学的トレーニング』で裸足ランナーとして一家言ある点
裸足ランナーとして一家言ある部分があった。
それは「かかと着地かフォアフット着地か」70〜74pの図2-4、「フォアフット走法に慣れる」78〜82p中の図2-5、図2-6。
これらの図を見てぴょんぴょん跳ねてアキレス腱を痛めるランナーが出てくると思う。
フォアフット(前足部)=趾の付け根としているが、実際はもっと広範な部位を指す。
また、着地時の趾の付け根から踵へ向かう隙間が高すぎる。それに図では裸足だけれど、大部分のランナーはシューズを履いてるだろうから、もっと高くしてしまう可能背がある。
もっと隙間が少なくてよいというか、ベタ足で着くくらいの意識でちょうど良い。
それと脚の振り戻しで着くようにする。
『ランニングする前に読む本 最短で結果を出す科学的トレーニング』の良い点
一番興味深かった項目は「心拍数からにこにこペースを見つける法」68〜70p。
にこにこペース=主観的強度しか知らなかったから、ランニング初心者用ながら独自の式から自分のにこにこペースを推定できて日頃のトレーニングに活用できると分かってよかった。
それに加え、その後のトレーニングによる成果の測定法も書かれているから安心。
もちろんマラソン経験者のための測定法も書かれている。
文字数制限がある中でこの項目だけ読んでもよくまとめてあると感心した。
体重を気にしているランナーには第3章「ランニングとダイエット」の「マラソンタイム推定法」112〜113pをお勧めしたい。
「減量でどれだけ速く走れるようになるか?」という副題だから、2つの式からシミュレーションして自分がどれだけ痩せた時のフルマラソン目標タイムを目指す励みになるだろうから。
「ランニング能力を上げる食事」165〜166pや「好成績を出す『ある秘訣』」192〜194p等の栄養面での示唆も興味深かった。
『ランニングする前に読む本 最短で結果を出す科学的トレーニング』まとめ
『ランニングする前に読む本 最短で結果を出す科学的トレーニング』の長所をまとめると3点に集約される。
- ランニング初心者から自己記録更新目標のランナーまで幅広い対象。
- 最初に書いたようにランニングやマラソンに関する総合的な内容を田中宏暁教授自身の研究成果も入れて網羅しているから読み応えがある。
- 新書だからいつでもどこででも読みやすい。
ということでマラソン完走したい初心者ランナーも、苦しい思いをして自己記録更新に励んでいるランナーにもヒントになる項目があると思うという点でお勧め。
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